歌物語140
西東京のライブハウスに、三島由紀夫の物真似をする芸人がいるというメールを、三島フリークの文学少女からもらう。出演するのは木曜日の夜。当の本人も行ったことがないというので、あまり気乗りもしないのだが、彼女を誘って行ってみることにした。駅のはずれの地下の薄暗いライブハウスに客は十人程度。楯の会の制服に、日の丸の鉢巻きをした小柄な男が、額にしわ寄せて、ベニア作りのバルコニーから、盛んに手を振り上げて、檄を飛ばすのだが、いつの間にか横井庄一や田中角栄になったりして、挙げ句に赤線復活などと大時代なことをいいだす。三島の信者が聞いたら刺されかねない内容なのに、なぜか彼女は笑い転げていた。
おのづから割れし陶器の幾つかの欠片を接げどわが憂国忌
■註■短歌○オノヅカラ ワレシトウキノ イクツカノ カケラヲツゲド ワガユウコクキ
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