歌物語104
もともと寸断されていた世界を繋ぎ合わそうとする事の暴挙。
針で焼く人形の眼のエメラルド亜米利加アメリカ後夜の月の出
■註■
短歌○ハリデヤク ニンビョウノメノ エメラルド アメリカアメリカ ゴヤノツキノデ
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もともと寸断されていた世界を繋ぎ合わそうとする事の暴挙。
針で焼く人形の眼のエメラルド亜米利加アメリカ後夜の月の出
■註■
短歌○ハリデヤク ニンビョウノメノ エメラルド アメリカアメリカ ゴヤノツキノデ
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誰が勝利者で、誰が敗者だったのか、まだ、結論は出てはいない。
死んだのは貴様の頭 残されたかなへびの尾に体が生える
■註■
短歌○シンダノハ キサマノアタマ ノコサレタ カナヘビノオニ カラダガハエル
・ かなへび=トカゲの一種。
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もう生きては会えないあなたが残していった古い詩集に挟まれたままの落ち葉のしおり。
曼珠沙華祈りのごとく燃えければ再来を告げ別れ行くのみ
■註■
短歌○マンジュシャゲ イノリノゴトク モエケレバ サイライヲツゲ ワカレユクノミ
・再来=再びこの世に生まれ出ること。
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生きた証なんてかっこよいものではなかった。
近松論遺言として書き上ぐる腕の黒き蚊は払わざる
■註■
短歌○チカモツロン ユイゴントシテ カキアグル カイナノクロキ カハハラワザル
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入隊の前日は吉原に繰り出した。別にわかれを告げるような人はいなかったから。
三分で果てにしのちに燻らする紅の付きたる両切煙草
■註■
短歌○サンプンデ ハテニシノチニ クユラスル ベニノツキタル リョウギリタバコ
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上の伯父は中国大陸で死んだ。戦病死だったそうである。
海光に紛れて騒ぐものたちを迎えんとして八月は来る
■註■
短歌○カイコウニ マギレテサワグ モノタチヲ ムカエントシテ ハチガツハクル
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久しぶりに故郷の母の実家によった。
仏壇に夏菊は揺れ会うこともなかりし二人の軍服の伯父
■註■
短歌○ブツダンニ ナツギクハユレ アウコトモ ナカリシフタリノ グンプクノオジ
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かもめかもめひろがりひろがりゆく空の果なだれゆき海なりやまず
北の海のかなた。わが祖父の眠る大陸。高速船のデッキに立ち、風を正面から受ける。誰かの投げ上げるクラッカーめざして、かもめが群がる。
/■註■
短歌○カモメカモメ ヒロガリヒロガリユク ウミノ ハテナダレユキ ウミナリヤマズ
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圧倒的物量をもって展開したはずの作戦が、敵の思わぬ抵抗に遭い、オレは何人もの優秀な部下を失った。いつ、どこから襲撃してくるか分からない敵に備え、オレ達はジャングルの闇の中に身を潜める。身めぐりを人ともけものとも分かたぬものらが、幾重にも取り囲む。
銃口の闇の向こうに幾万の墓標のような影立ち並ぶ
■註■
短歌○ジュウコウノ ヤミノムコウニ イクマンノ ボヒョウノヨウナ カゲタチナラブ
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